COLUMN

暮らしのコラム

クレヨンしんちゃんの間取り

2022.05.01

マンガ間取り

今回はクレヨンしんちゃんの間取りを見てみましょう。
このマンガは1990年に連載が始まり、92年にTVアニメが始まりました。当時の日本はバブルがはじけて不景気になったころです。

しんちゃんの自宅は東京近郊のベッドタウンである埼玉県春日部市の設定です。実際の春日部市は東京駅まで約50分という位置でまさに都内への通勤圏という地域にあたります。
4DKの一戸建てという住まいですが、典型的な建売住宅の間取りといえます。

提供:会援隊 http://kai-en-tai.com/

1階に2部屋+DK+水回り。2階に2部屋で玄関ホールが吹き抜けになっています。特徴的なのは1階の和室で、マンガの設定では客間となっているようですが、2階の寝室を使わないでこの和室を家族一緒に就寝という使い方をしています。まだしんちゃんも幼稚園だし、妹のひまわりもよちよち歩きの赤ちゃんですから、2階の寝室よりこちらのほうが使いやすいのでしょう。

アニメでは1階の居間でくつろぐシーンがよく出てきますが、床には絨毯をはり、座って生活しています。隣のDKはフローリングで椅子・テーブルの生活になりますので、本来はほこりやチリが気になって使いにくい間取りなのですが、まさにこれこそ一般的な使い方といえそうです。

しんちゃんの家の場合、建売住宅(想像です)だからしょうがないのかもしれませんが、間取りを考える場合、この座敷と椅子式の暮らし方を十分検討することで快適な暮らしが可能になります。

例えば、玄関に近い居間がDKと隣接している場合、一般的にはやはり椅子式の部屋を想定します。これは玄関ホールやキッチンが立って使用する場所だからであり、床に座ってしまうと居間(茶の間)では立ったり座ったりが大変になるからでしょう。でも今や茶の間ではのんびりとくつろぎたいと思うと、どうしてもごろんとできる座敷の空間が欲しくなります。

これは居間をパブリックなゾーンととらえる欧米のライフスタイルと、自宅はすべてプライベートゾーンと考える日本のライフスタイルの違いが大きく影響しています。
詳しくは触れませんが、たとえ自宅といえども居間ではだらっとしないという欧米のライフスタイルを無視して、部屋の造りだけ真似た結果が現在一般的になっているLDKの造り方なのです。

この今や茶の間という空間の過ごし方をどのように考えるかは、快適に暮らす住まいを実現するためには大切な検討項目ですから、十分気を付けたいものですね。